事前にチェックしよう!本年度アカデミー作品賞候補作をまとめて紹介

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アカデミー賞作品賞候補に選ばれた9本を紹介

仕事の都合でアメリカにしばらく滞在していたお陰で、今年のアカデミー賞作品賞の候補になった映画を全部見ることができました。

合計9本、いずれも見応えのある秀作佳作ばかり。

セリフの難しさで部分的に分からないところを差し引いても、その良さは十分に伝わってきます。

それぞれ特徴があるので、見どころなどと合わせて各作品を紹介してみます。

アカデミー賞候補作①批評家好みの「ラ・ラ・ランド」「ムーンライト」他

まず数多くの批評家賞をさらった「ラ・ラ・ランド」。

高速道路から始まるところはフェリーニの「8 1/2」。

恋する主人公たちがやむを得ない事情で離れ離れになるところは「シェルブールの雨傘」。

そしてラストが「巴里のアメリカ人」。

とにかく過去の映画へのオマージュが散りばめられていて、映画評論家がいかにも喜びそうなマニアックな映画です。

恋の破局の経緯を全く省略しているところが却って素晴らしく、前作「セッション」同様、デミアン・チャゼル監督のオリジナル脚本は構成力が秀逸。

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個人的には、以前から「巴里のアメリカ人」は「8 1/2」に影響を与えたのでは、と思っていたので、始まりと終わりの呼応は「この監督さんも同じ事を考えたのかも」と嬉しくなりました。

続いて、「ラ・ラ・ランド」に負けず劣らずの受賞数を誇る「ムーンライト」。

批評家が「映画では滅多に見られない人間たちを見事に描写している」などと絶賛していて、今回1番期待していたのですが、正直、肩透かしを食った気分です。

評価の高さの所以は、最後に純愛ものになるという展開の意外さなのでしょうか。

あるいはセリフや演技がアメリカ人から見るとニュアンスに富んでリアルに見えるのでしょうか。

もちろん、面白いドラマではありますが、ここまでの評価の高さはちょっと理解できません。

ただ、音楽の使い方、そしてラスト近くのダイナーの場面は素晴らしいものです。

続いてもドラマ「マンチェスター・バイ・ザ・シー」。amazonが製作した作品です。

海辺の町を舞台に描かれるある男の悲劇と、その後の甥との生活ぶり。

地味ながら、ケイシー・アフレックの演技が素晴らしく、彼の演技を見るだけでもお金を払う価値があります。

ただ、舞台が米国だけに、あんな悲劇を起こした主人公がヤク中にならず、律儀に管理人として働くというのが不自然に思えます。

無茶な行動と言えるのは酒に酔って人を殴るというだけ。

評判が良いのは「そこがかえってリアル」という意見が多いからかもしれません。

アカデミー賞候補作②アクションの多い作品2本!

続いて犯罪ドラマの「最後の追跡 / Hell or High Water」。

「ラ・ラ・ランド」や「ムーンライト」の評判に押されて獲得した賞の数は少ないのですが、引き締まった構成を持つ秀作です。

その構成の見事さは、ちょうど昔の200頁ほどのハヤカワ・ミステリを一気読みした気分、とでも言えばいいのでしょうか、一気呵成にドラマを語って余韻を残す、という風です。特に犯罪の動機づけが面白く、なるほど、と思わせます。

「ハクソー・リッジ」はメル・ギブソンの久しぶりの監督作。

事前の情報なしで見たので驚かされました。

まさかセブンスデー・アドベンチストの話とは……。

これがアカデミー賞候補となり、同じように宗教的なマーティン・スコセッシ監督の秀作「沈黙 -サイレンス-」が候補とならないというのは不思議な気がします。

沖縄戦の描写は圧巻。それにしてもメル・ギブソンの残虐趣味は相変わらずで、日本人将校の切腹の場面など、例え事実だとしても不必要でしょう。

アカデミー賞候補作③残りの4本のノミネート作品はいずれも異色作!

「ヒドゥン・フィギュアズ」。

今回は黒人が主役の映画が多いのですが、そのうちの1本です。

黒人、おまけに女性というハンディキャップにもめげず、アメリカのマーキュリー計画の成功に貢献した3人の黒人女性の活躍を描いたもので、今回の作品賞候補のうち、最もハリウッドの商業映画らしい作品。

つまり、口当たりは良いのですが、その人物描写やリアリティの点で生ぬるい、という感じです。

当時はNASAですら人種差別がはびこっていて、施設内に白人黒人別々のトイレがあったという事実など興味深いのですが、それを巡る人物像が余りにも善人悪人に別れすぎていて、ちょっと作り物臭すぎる印象です。

「LION/ライオン ~25年目のただいま~」。

迷子になって家に帰れなくなったインド人少年が25年後、グーグルアースのお陰で家を見つける、という変わったお話。

実話の映画化というのが驚きです。

前半がインドでの少年の冒険譚、後半がオーストラリアでの生活の描写となるのですが、前半のインドロケでのドキュメンタリータッチの部分が圧倒的に優れていて、後半は途端にボルテージが落ちます。

それでも俳優の演技は見応えがあり、最後はどうなるのかハラハラさせられます。

「メッセージ」。

宇宙人とのファーストコンタクトを描くSFですが、語り口に仕掛けがあり、ちょっとM・ナイト・シャマラン作品を思い起こさせます。

何といってもエイミー・アダムスの演技が素晴らしく、当然オスカーレースの本命と目されていたのですが、なぜか候補にも上がらず。

どういうことなのか、アカデミー会員に聞いてみたくなります。

「フェンシイズ」。

デンゼル・ワシントン監督・主演ですが、今回の候補作の中でも最も地味な作品でしょう。

ピューリッツァー賞を獲った戯曲の映画化ですが、何しろ映画的なアレンジがほとんどされておらず、まるで実際の家で戯曲をそのまま演じているような妙な錯覚に陥ります。

主人公の愛人など話の中で出てくるだけで顔さえ映さないのですから変わっています。

ただ、ヴィオラ・デイヴィスの演技力は見事で、この作品の1番の見どころです。

今回のアカデミー賞も実話の映画化が多い!

それにしても今回は(も?)実話の映画化が多く、9本のうち3本もあります。

最後に実在の人物の写真を直接映し出すのも共通していて、こうすると賞に選ばれやすくなるのかと勘ぐってしまいます。

それにしても全9本いずれも優れた作品であることは間違いありません。

日本の場合、これら全てが映画館で公開されるのかどうかは分かりませんが、どれを見てもお金の損にはならない作品ばかりです。

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