
ワンパンマンのストーリー&設定紹介
「ワンパンマン」の舞台設定は公害や環境破壊に激怒した自然界が、恐ろしい怪物たちを生み出し人間を襲わせるという世界で人類は怪物たちに対抗するために「ヒーロー協会」なるものを作り、世界中から強い人間たちを集め、S級からC級までにランク分けされたヒーローたちが活躍するというSF漫画です。
筋トレやランニングなどというユニークかつ単純な方法で世界最強になり、20代なのに髪が禿げ上がってしまったヒーロー・サイタマが弟子のロボット超人ジェノスと悪をやっつけていきます。
ヒーローものにありがちなハラハラドキドキする要素はほとんどなく常に淡々とした態度と共に「ワンパンチ」で敵を倒してしまうのでアクションとしてはあっけないのですが
サイタマの滅茶苦茶に底の抜けた強さと無欲ぶりがとても爽快です。
スポンサードリンク物語としては拍子抜けするほど単純でも、現在のインターネット事情や大組織の権力闘争などメインストーリー以外のところで大人が思わずニヤリとしてしまう要素が満載です。
ワンパンマンは常にとてつもなく強い「ワンパンマン」の名前の由来は「なんでもワンパンチで倒してしまうから」です。
その名の通り、主人公サイタマがステージに現れたら勝負は終わったも同然で「ヒーロー協会」はS級1位を頂点として様々な強さのヒーローがいるのですが上位のメンバーが大苦戦している相手でもサイタマは一撃で倒してしまいます。
動きが固まってピンチに見える時は、夕食の献立やスーパーの特売のことを考えている時という戦いを舐めきったヒーローなのです。
弟子のジェノスはS級戦士で機械の体なので相当強いはずなのですが、正義感が強すぎるために他の人間をかばってよくピンチに陥ります。
最初はジェノスもサイタマのやる気のない態度を見て馬鹿にしていましたが、ピンチを救われたことによって、弟子入りを志願するようになりました。
ジェノスに限らず強い正義の戦士が束になってもかなわない怪獣を、サイタマが軽いパンチ一振りで倒してしまう痛快さは今までの他のヒーローものにはなかった気持ち良さです。
ワンパンマンは名誉を欲しがらないヒーロー
ワンパンマンの魅力のもう一つはいつも飄々としているところで、いわゆる「暑苦しい善人」とは正反対のタイプです。
サイタマも「ヒーロー協会」には所属していますが、自分の活躍をアピールすることがないため初期の頃は最低レベルのC級ヒーローでした。
弟子のジェノスはデビューから派手なイケメン容姿と相まって、いきなりのS級スタートで世間に強さを知られるのですがサイタマは全くの無名なので2人で強敵を倒しても手柄は全てジェノスという理不尽が続きます。
手柄を欲しがらないサイタマの態度にますます崇拝の度を強めていくジェノスですが時が過ぎるにつれジェノス以外にもC級1位ヒーローの「無免ライダー」などサイタマの本当の凄まじい強さと平和への貢献を知り、尊敬するものが徐々に現れます。
主人公・ワンパンマンことサイタマのフツーがいい!
主人公サイタマが普通のサラリーマン的性格なのがとても愉快です。
彼が人生の最優先とするのは、スーパーの特売日をチェックすることと面白いテレビ番組を見ることで地球の平和だとか正義の信念というものは全くありません。
目の前に困ってる人がいたら自分が出来る範囲で手を貸してやり、悪人も反省したら深追いしないといういたって常識的なところがサイタマの非常識な強さを余計に際立たせています。
また物語に登場する中ではサイタマに続いて桁違いの強さをみせる超能力者「戦慄のタツマキ」は28歳チビ美少女風ヒーローですが、性格はスキルの高いヒステリーOLそのままで怪物を倒す戦力としてはピカイチなものの、口と素行の悪さもピカイチで常に嫌味や暴力を放ってくる困りものです。
他にも、常に金属バットを持っているヤンキー風ヒーローや、ナルシストなガチムチマッチョ肉体派ヒーローなどいかにもその辺に歩いていそうな「あるある」と言いたくなるようなキャラクターばかりなのが現実感を持たせてくれます。
ワンパンマンには無責任な批評者を風刺しているシーンも
この作品の特徴として変わっているのは、その他大勢の中から、現代の有名人にとっては最悪の「冷笑風批評者」が頻繁に現れることです。
海底から現れた怪物たちが避難所に逃げ込んだ人間たちに襲い掛かり救助に現れたヒーローたちをも全滅させ、その中でも特に強い「海底王」がジェノスをもバラバラにしてしまいます。
その海底王をサイタマが例のごとくパンチ一発で倒してしまうと、さっきまでは泣いて助命を請うていた一般人の中から、ワケ知り顔でサイタマの強さを疑う者が現れます。
「この怪物ほんとは弱いんじゃね?」「ヒーローは一般人を命かけて守って当たり前」などと言いだします。
作者は「お客様は神様」的なゴリ押しを嗤っているような印象を受けます。
またヒーロー協会内での「有能な新人イジメ」も時々描かれています。
この辺の苦いリアリズムもまたこの作品の味だと思います。
「ワンパンマン」深読みをすれば、雑音の多い現代社会でシンプルに爽やかに生きていく処世術なのかもしれません。