
「スラムダンク」の井上雄彦先生の描く、車椅子バスケの世界
漫画を読まない人でも、スラムダンクという漫画がある事は知っている、という人もいます。
その作者が描く、このリアルという漫画で車椅子バスケに興味を持った、という人も多いのではないでしょうか。
私もリアルを読むまで、車椅子バスケという競技があることも知りませんでした。
井上先生が、車椅子バスケをみて感銘を受けて漫画を描こうと思ったという位ですし。
なかなか興味深いです。
車椅子バスケをする人間ドラマもまた様々。
仕事をしながら、バスケをしたり年齢も傷害の度合いも違っていたり。
ただのバスケとは違うルールなども出てきます。
傷害の重さによって、出られる選手が決まってきたりするとなるとメンバーを集めて試合をするのも大変だろうなと驚きました。
絵がウマイので、読みやすいです。
動きや体のラインなども全く違和感もなく。
スポンサードリンクキャラクターの顔も、かき分けがきちんとされていてそういう点もさすがだなと感じます。
表情なども絶妙な感じで凄いです。
スポーツシーンも迫力がありバスケ姿がまたカッコイイのです。
様々な想いで、自分の障害と向き合いながら車椅子バスケをしている人達の姿が胸にきます。
それまでは普通の生活ができて、当たり前の日常を過ごしていたのに
ある日自分が障害者になってしまう。
あり得ない話ではないけれど自分はそうならない、関係ない話だと思ってしまっている事に気がつきました。
登場人物の中にもそういう人が出てくるので、考えさせられます。
嫌な性格だと思っていたキャラクターが、どうしてそうなっていってしまったのかが分かってきたり傷害によって、自分を見つめなおせるきっかけになっていたり心にぐっとくるシーンが沢山あります。
人を想う気持ちだったり、信じる気持ち、名シーンが沢山ある漫画だと思います。
この人がこのタイミングで言うからこその素晴らしいセリフそういう物が溢れているのです。
「リアル」では車椅子バスケを通して様々なキャラクターが描かれる
この漫画は、一人の主人公というわけではなく様々なキャラクターがいてそれぞれにスポットがあたって沢山主人公になるという感じです。
葛藤や過去なども掘り下げられていて、心情なども丁寧に細かく描かれていて想像もふくらむし、自然と感情移入してしまいます。
逆境を乗り越えようと奮闘する姿には、応援せずにはいられません。
やりとりなどの会話も面白かったりして、ちょっと笑えたりするシーンもあります。
1巻では、ともみというバスケ大好きな男子高校生が学校をやめる所から始まります。正直者で、熱血タイプ、見た目は怖いけど、明るいキャラクター。
人を怪我させてしまい、加害者になってしまい相手は車椅子の生活になってしまいます。
色んな葛藤もあるけれど、自分に正直に生きようとしているように思えます。
そして、車椅子バスケとも出会うのですがそこからも沢山の出会いに繋がっていきます。
彼にまつわる人がピックアップされることも多いように感じますが、このまま更に人物が先では繋がっていくのかなとほのかに期待しながら読み勧められる楽しみもあります。
プロレスラーの白鳥さんも、多くの後悔を背負って、家族からしたらダメな人になってしまったのかもしれませんが懸命に戦う姿には、涙しました。
個性豊かなキャラクターが多くでてきますが、私は特にあずみという女の子が好きです。
優しさも、一途さも、前に進もうとする強さも魅力的です。
それぞれがそれぞれに抱えていること、抱えてきた物・・・。
これは、明るい爽快なスポーツ漫画などではなく、ヒューマンドラマといった方がしっくりくるのです。
独特のスピードで進む「リアル」のストーリー
このまんがの特徴の一つとも言えるのが、話の進むスピードです。
漫画でこのくらいの巻数なら、ストーリーの初めの日から何年位たっている、などの時間の経過が漫画としては、かなり遅めになっている方だと思います。
色んな登場人物の視点もあったり、回想シーンがあったり心情を描いていたりで。
それでも全く飽きさせず話に引き込まれていくのがこのリアルだと感じます。
このあとどうなるんだろうと気になる事もありますが、違う人の話になってしまったりする事ももちろんあります。
ところで、有名人がモデルかなと思うキャラクターがちょこちょこ出てきます。
片桐はいりさんの顔のナース、澤穂希選手に似てる女性、見つけた時は楽しめるかもしれません。
井上先生この人を好きなのかなと考えてしまったり。
「リアル」は同じように悩む人への励みになる漫画
障害と向き合う、自分と向き合う、病気と向き合う、そうした苦しさが多く出てきます。
その分、光があったり美しさやはかなさ、力強さがより鮮明に輝く気がします。
心にささります。
この作品のファンに、好きなシーンを挙げてもらうとしてもバラバラなのではないかと思えます。
良いシーンやエピソードは沢山あるのですが、意見が別れそうな漫画。
同じように悩む人へ大きな励みにもなるのではないでしょうか。
読んでいると、ハッとさせられる事も多いです。
子供にも、この漫画は読んでそして考えて想像してみて欲しいと思える作品です。
沢山、心に課題を与えてくれるはず。